住職の語り【第九回】

皆さん、お久しぶりです。私は10年ぶりに高熱を出し、ダウンしました。だいぶ体調を崩し、生身の身体なんだと実感しました。自分の精神の持ちようだけではどうしようもできない、つまり自分の思い通りにはならないものがあるということです。それがわかっただけでも儲けものです。

私のように地方に住んでいる者にとっては、経済的な豊かさよりも、自然の恐ろしさ、ありがたさを目の当たりにすることが多いです。自然に対する畏敬の念が生まれます。
朝起きて、鳥の鳴き声を聞き、今日一日の始まりを感じます。上空を眺めれば、雲の動きにしばし心を奪われます。飛行機のエンジン音が聞こえれば、心にざわめきを感じ、まだこの自分にも、子供のような気持ちが残っているのだと、うれしくなります。

この寺には山あいの風景がよく似合います。だから、この寺と自然を残していきたいものです。なぜならば、我々が山に、自然に守られているからなのです。ともすれば、私たちは日頃から多くのものから守られているのに、それに気づかずにいます。海もまた然りです。山、川、海、空、田んぼや畑、それら全てが私にとりましては仏の恵みといえます。

一日を振り返ってみれば、自分の至らなさに修行の不足を痛感し、まだまだこれからだと自身に言い聞かせています。発展途上ですから、完成には程遠い。それがまた、己の楽しみなのかもしれません。

皆さんにとってこの一年が良い歳でありますように。もちろん、この私にとりましても。共存共栄、私の理想です。どうぞ、御身(おんみ)大切に。