こんにちは。お久しぶりです。
今回は、皆様になじみの深い「般若心経」のお話です。
私たちになじみの深い経典に「般若心経」があります。般若心経は、一般には空般若(くうはんにゃ)を説いたものとされますが、これは
顕教(けんぎょう)という、密教以外の仏教の立場からなされたものです。
即ち、あらゆる事象は縁によって生じたものであり、それは無常無我であり、
いわゆる本来実体がないのであるから、執(と)らわれから離れ自由なる境地に入り、一切の苦厄から救われると説くものです。
ところが真言密教の立場では、一歩進んで般若心経は「般若菩薩(はんにゃぼさつ)」の心を説いたものとしています。あまりなじみのない仏様といえるかもしれません。
般若菩薩は般若すなわち智慧(ちえ)を内証としています。そしてありとあらゆる宗派、仏菩薩の教えを内包して説きます。
したがって、般若心経の一字一句には仏の智慧が宿っていますから、私たちの思考をはるかに超えた経典です。
これをお大師さまは、「般若心経秘鍵(ひけん)」として記しています。般若心経の最後尾に「ギャーテー、ギャーテー・・・」で始まる
真言があります。これはあえて漢訳せずに、ずばり真言そのものを漢字にあてたものです。
お大師様は、「仏法はこの身このままに存在するのであるから、心から仏法を信じ修行すれば、悟りの境地に到る」と説いています。
今、私たちにできることは、般若心経や仏様の真言をお唱えし、「南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)」と、お大師様の
ご宝号(ほうごう)」を7返か、21返唱えることです。
般若心経秘鍵の末尾には「上表(じょうひょう)文」が添付されており、これは昔から偽作かもしれないとされています。内容は、弘仁9年(818年)の春、天下に疫病が流行したので、当時の嵯峨天皇がこれを哀れみて、大師の奉答を参考に、天皇陛下自ら、紺紙に金泥を以って般若心経を書写なさいました。
その尊い天皇の御信力により、その疫病も退散に向かい、天下の人々は歓びの気持ちを表しました。般若心経は日本語で書かれたものです。神舎に詣でる人々は、この般若心経秘鍵を神前でお唱えしなさい、とも書いています。
私にはこの内容が偽作か本物かは知る由もありませんが、とても良い内容なので私はこの上表文が「本物」だと信じたい気持ちです。
天下に疫病が起こりたる時は、国民はその心を一つにしなければなりません。
この度の新型コロナウイルスという疫病は、まさに弘仁年間の疫病にも匹敵するのではないでしょうか。
私も毎日、神仏にこの疫病が一日も早く治まりますことを祈念しています。
どうか皆様もご宝号をお唱えいただき、お体を大切にお過ごしください。